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【獣医解説】猫の腎不全に対するAIMタンパク質の治療効果とは【新薬】

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注意:今回お話しするAIMは研究段階のため、

    実用化まではまだ時間がかかると思われます。

 

愛猫家の皆様は猫が腎臓を悪くしやすいというのはご存知かと思います。

10歳を超えると半数の子が腎不全を発症するともいわれており、

腎不全の治療の向上は猫の寿命を大きく延長させる可能性を秘めています。

今日はそんな腎不全に対する新しい治療法の可能性を紹介します。

【参考記事】

出典:東京大学 淡青vol.37

腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」でネコの寿命が2倍に!? 

 

 

腎不全を治す可能性を秘めたAIMとは?

参考記事の要約になりますが、

AIMは体のゴミを掃除屋さんに知らせる「札」の役割をもつタンパク質です。

腎臓で作った尿が流れていく排水管が尿細管ですが、

そこにゴミが詰まってしまうと腎臓が悪化してしまいますので、

AIMがくっつく事で「ここにゴミがありますよー」と知らせて、

他の細胞によってゴミが取り除かれるという訳です。

人や犬、鼠にも備わっているタンパク質であり、

それらの動物ではAIMがしっかりと機能しているのですが、

猫科の動物では腎臓から尿の中に排出が出来ないために、

尿細管のゴミが除去されずに腎機能が悪化するという事です。

 

もちろん猫に腎不全が多い事がAIMだけですべて説明がつくとは限りませんが、

少なくともAIMの尿中分泌の問題が解決されることで

腎不全の治療が行える可能性があるわけですね。

 

すでに腎不全になっている子を治せるのか?

飼い主さんとしては、このAIMが薬として発売されることで、

既に腎不全となっている猫の腎臓を治すことができるんじゃないか、

とお考えではないかと思います。

しかしそれは難しいかと思われます。

今回のAIMタンパクが有効として報告されているのは、

急性腎不全後にそのまま慢性腎不全化してしまう事への治療効果です。

既に慢性腎不全化してしまっている場合には、

排水管の問題だけではなく、腎糸球体の数量減少やアミロイド沈着など、

他の問題が腎臓に現れてしまっているでしょうから、

AIMはそちらの治療を行う事は難しいのではないかと思われます。

 

一応「腎機能の低下した猫にも効果が見込め」と記載されていましたので、

慢性腎不全に対しても一定の効果があるのかもしれませんが、

それは現状からの悪化を予防する効果という意味であり、

既に悪化した所を治せるわけでは無いんじゃないかと思います。

 

なのでAIMが腎不全を治せると言っても、

「急性腎不全をきっかけに慢性腎不全化することを治す」

という所に留まるでしょう。

 

そしてAIMが実用化された場合には、

・腎不全の予防目的で定期的に投与

・急性腎不全で入院している時の投与

という形になるのではないかと思います。

 

いつ頃AIMは発売されるのか?

AIMを発見された宮﨑先生はベンチャー企業を設立して、

2022年までの商品化を目指しているとのことです。

数年以内にはAIMが使われ始めて、

猫の寿命が大きく伸びるかもしれませんね!

 

 

おわりに

今日は猫の腎不全を一変させる可能性を秘めたAIMについてお話ししました。

新しい情報が出てきた場合には、随時報告したいと思います。

それではまた。

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