耳寄り情報 薬について

獣医師は使う薬をどのように選んでいるのか

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薬を処方された時、

「この薬は何の薬だろう?」

そう思う人は多いと思いますし、実際に説明する事も多いです。

しかし、

「なぜこの薬が処方されたのだろう?」

そんなことを気にする人はあまりいないと思いますし、

説明する機会もまずありません。

ということであまり耳にする事の無い話題として

獣医師がどんな感じで薬を選んでいるのか、

今日はその一端をお話ししたいと思います。

(知っても役には立たないと思います)

 

獣医師は使う薬をどのように選んでいるのか

 

 

いつものお薬

よくある病気については、特に迷う事はありません。

耳の炎症にはこの薬、皮膚の痒い子にはこの薬、腎臓病にはこの薬、と

第一選択薬として使う薬が決まっています。

また患者さんによっては、この薬をいつも使っているので同じもの、

というようにして、いつものお薬を処方するパターンが多いです。

あまり待たずに会計が始まるのはこういった時でしょう。

獣医師としても負担が少ないので助かります。

 

入院の患者さんについても同じことが言えます。

膵炎であればこの薬、急性腎不全であればこの薬、といった風に、

基本的に使用する薬が決まっています。

しかし体調の安定した子の多い外来に対して、

入院の患者さんは複数の病気を併発していたり、

最初の治療が生死をわける可能性があったりと、

パターン通りに処方を決められない事もそれなりにあります。

 

 

高い薬を使うかどうか

それなりによくある病気であっても、

全てがテンプレート通りにはいきません。

例えばアトピー性皮膚炎だった場合、

アトピカという免疫抑制剤をよく使用していましたが、

値段が高いという難点があります。

体重で変わってきますが、具体的に一日数百円かかることも珍しくありません。

他にもカビの薬やホルモンの薬など、

値段が高い薬がいくつか存在しています。

こういった薬が候補に挙がった時は、

他の薬で代用できないか、飼い主さんに了承が得られそうかなど、

色々な事を考えたうえで薬を選んでいます。

 

 

薬を選べないことも

薬を選ぶという話で言うと、

選ぶための選択肢がそもそも存在しないこともあります。

特に症例数が少ない病気についてその傾向が強く、

そういった場合には使用可能な唯一の薬を使うしかありません。

 

 

丁寧に選ぶ必要がある時

時に獣医師は薬の選択を慎重に行う必要があります。

それは以下のような場合です。

 

<薬剤抵抗性の菌が発生している場合>

人医療でも問題になる、MRSAや緑膿菌などは薬剤に強い抵抗性を示します。

抗生剤を慎重に選ばないと治療が出来ないだけでなく、

さらなる薬剤耐性を生み出してしまう恐れがあります。

 

<副作用のリスクが高い場合>

肝臓に負担がかかったり、免疫が下がってしまったり、神経症状がでたりと、

薬自体に副作用が出やすいものもありますし、

患者さんの体調や飲んでいる薬の組み合わせの問題として

副作用のリスクが高くなってしまう場合もあります。

 

<複数の疾患に対して、どちらかしか治療できない場合>

代表的なものとして、心臓と腎臓の両方が悪いケースが挙げられます。

心臓が重度に悪い場合には心臓への負担を抑えるべく、

血液中の水分量を減らすために利尿剤を必要とする事があります。

しかし腎臓が悪い場合には水和状態を維持するために点滴などを行い、

血液中の水分量を増やしてあげる必要があります。

この両者の治療は矛盾しており、どちらか一方しか選ぶことができません。

どちらが選ばれるかはケースバイケースであり、

状況や飼い主さんの考え方、獣医師の考え方など色々な要素で決まります。

 

 

まとめ

・各病気に対して使う薬剤は基本的に決まっているので選ぶ機会は少ない。

・薬の値段が高い場合、治療抵抗性の場合、リスクが存在する場合などでは、

 状況に応じて使用する薬の選択を行っている。

以上、与太話ではありますが、ご参考までに。

それではまた。

 

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