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「大丈夫」と言えない獣医 VS 安心したい飼い主さん 

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今日は獣医あるあるな話をお届けします。

内容はタイトル通り、

「大丈夫」と獣医が言う事を求める患者さんと、

そうしてあげたいけれど、それが出来ない獣医の苦悩。

安心したいという気持ちはわかるのですが、

そう簡単には行かないのが現実なのです。

では早速本題へとまいりましょう。

 

「大丈夫」と言えない獣医 VS 安心したい飼い主さん

 

 

獣医が「大丈夫」と言える事はほぼない

まずは獣医側の説明(言い訳)をさせてもらいます。

基本的に医療には100%のものは何一つありませんし、

例えば薬であっても副作用のリスクが確立に差はあれど存在します。

そんななかで「大丈夫」と言えるのは、よっぽどの時だけです。

 

「おそらく大丈夫でしょう」ぐらいは言えるかもしれませんが、

そう伝えると、多くの場合「大丈夫と言われた」と取られます。

飼い主さんにとっては同じと思うかもしれませんが、

獣医師にとって、

「多分大丈夫」 と 「大丈夫」 は大きく異なります。

そこの「多分」には、

「低確率ではあるが、予想できない事象が起き得ることもあるからね」

という強い思いが秘められています。

その理由は次の通りです。

 

安易に大丈夫というと、トラブルに発展する可能性がある

さて、「大丈夫」と言っておいて、

予想外の事が起きた場合を考えてみましょう。

命に関わる病気で入院している患者さんが回復傾向にあったので、

飼い主に「もう大丈夫です」と説明したとしましょう。

ところが突然容体が悪化、救急対応を行うも亡くなってしまった。

こうなると、確実に飼い主さんからは苦情が来ます。

「大丈夫って言ったじゃないですか!」

「どういう事ですか?」

場合によっては「訴訟だ、裁判だ」と言い出す人もいます。

こういった事態を避けるために、

獣医としては少しでもリスクがある事については、

「大丈夫」とは言えなくなるのです。

 

飼い主としては「大丈夫」と言って安心させてほしい

この気持ちはよくわかります。

病院に行く理由の中にはペットの問題を解決して安心したいという事も含まれるはず。

実際に「大丈夫」という言葉を獣医から何とか引き出そうと、

あれこれ質問される飼い主さんもしばしば見かけます。

でも少なくとも私は安易に「大丈夫」と言うつもりはありません。

獣医師の仕事は、安全を誇張して飼い主さんを安心させる事じゃないはずです。

極端に言えば、「99%の確率で大丈夫だけど、1%は問題の可能性もあります」と

現実を正しく飼い主さんに伝える事でしょう。

私はそう考えるので、基本的に「大丈夫」とは言いません。

 

獣医によっては「大丈夫」と言う人もいる

とはいえ獣医師全員が私のような考えをしているわけではありません。

患者さんを安心させることも獣医の大事な使命だと考え、

低確率の事象が起きた時に揉めるリスクを承知の上で、

「大丈夫です」と伝えて、安心させてあげるという獣医もいます。

それが良いかどうかは分かりませんが、

もしそういう獣医を求めるならば、探してみる価値はあると思います。

割合としては少ないので、中々大変だとは思いますが。

 

無知からの「大丈夫」かも

「大丈夫」と言えるとすると、

もしかすると低確率のリスクについて知らないだけかもしれません。

経験を重ねた獣医師は、

「何にでも予想外の事は起きうる」という事を身をもって知っていますが、

若い先生だとそうは行きません。

今までたまたま上手く行っていただけで、

実はリスクがある状態を大丈夫と言っているかもしれません。

なので年次の若い先生の「大丈夫」には少し注意した方がいいかもしれません。

 

確率の低いリスクにどこまで説明義務があるのか

これは非常に難しい話で、どの獣医師も悩んだことがあると思います。

ワクチンアレルギーなんかはそこそこの確率で出る可能性があるので、

ほとんどの獣医がリスクについては説明を行うでしょう。

しかし報告上は知られていても、

実際に出会う事が無いようなリスクにまで説明をすることは稀です。

(例えば、よく使われる薬で報告された超珍しい副作用の説明など)

そこまで説明を行った場合には獣医師の時間が足りなくなってしまいます。

なのでどの獣医師もどこかで線引きをして、

珍しい事象については、リスク説明を省略しているかもしれません。

それを職務怠慢だと考えるかどうかは人次第ですが、

現場の人間としては限度があるよと思います。

 

とはいえ、そういった珍しい事も理論上は起きうるし、

珍しければ珍しいほど説明していないためにトラブルになりやすい、

ということを考えれば、

やっぱり「大丈夫」とは中々言えないのです。

 

 

おわりに

今日は大丈夫と言えない獣医の葛藤をお話ししました。

色々な考え方があっていいと思うので、

何か意見があればコメント頂ければ返信いたします。

それではまた。

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