飼い主さんの立場に立った時に、
犬の予防は色々あって大変だなぁと思います。
お金もかかるし、病院に都度連れていくのも手間がかかる。
そんな中で、本当に犬のフィラリア予防は大事なの?と思ったこともあるでしょう。
「フィラリア予防なんか必要ない」と言っている飼い主さんもいます。
「動物病院が儲けを出すためにやっているんじゃないの」と疑っている人もいます。
本当のところはどうなんでしょうか、ということで
犬のフィラリア予防は必要ない?その考え方の危険性とは
<フィラリアとは何者?>
犬糸状虫という犬の心臓に住む寄生虫のことをフィラリアと呼んでいます。
感染してしまった犬にとっては心臓に邪魔者がいることになりますので、
心臓がどんどん悪くなり、健康な子と比べると寿命も縮んでしまいます。
フィラリアは子虫が蚊によって媒介されており、
感染している蚊に刺されると、犬の体内に子虫が移動して感染します。
感染した犬の中で子虫は成長を続け、最終的には心臓内に寄生し、
交配することであらたな子虫を血管内に排出するようになります。
それを蚊が血を吸うときに一緒に子虫を吸い上げてほかの犬に移すという生活環です。
<感染しても、駆虫すればいいのでは?>
フィラリアは、感染してからの治療は大変です。
外科治療、内科治療どちらも難がある治療法となっているからです。
1、外科治療
フィラリアは「心臓内に寄生する」という所がやっかいで、
皮膚などの体表と違って物理的にアプローチしづらい場所です。
昔は体の表面の血管から心臓までカテーテルを通していき、
心臓の中にいる成虫を直接挟んで引っ張り出すという手術も行っていたのですが、
全身麻酔や透視レントゲン装置に加えて、専門の技術が必要となっており、
実施に際してのハードルが非常に高い治療です。
それゆえに今はあまり行われていない治療になっています。
(フィラリア予防が浸透してきたというのも大きな理由ですが)
2、内科治療
じゃあ薬を使って駆虫すればいいと思うかもしれませんが、
話はそう簡単にはいきません。
なぜなら、フィラリアに感染している犬に駆虫薬を投与すると、
死んだ成虫が血管に詰まってしまったりなどでショック死する可能性があるからです。
やるにしてもショック予防の治療をしながら注意して薬を使う必要があるのです。
フィラリアの予防が始まる前に必ずフィラリア検査を行っているのはそのためです。
このショック死のリスクがなければフィラリア検査なんて手間のかかる事をせずに
毎年決まった時期に薬を飲むというのもありなのですが、
命にかかわる可能性があるとなると、実際にそうすることは難しいです。
<実際にフィラリアに感染する可能性はあるの?>
首都圏内では予防が比較的しっかりと行われていますので、
フィラリアのライフサイクルが回っておらず、
蚊に刺されてもフィラリアを持っていないため感染しないということが多そうです。
しかしこれは確率論の話でしかなく、予防をしないでいると感染する可能性はあります。
地方はもちろんのこと、都内でも郊外にでると普通にフィラリアの症例がいると聞きます。
感染する可能性は普通にある、と考えておいた方がいいでしょう。
まとめ
1、フィラリアは感染すると寿命が縮む
2、感染する可能性はある
3、フィラリアは「感染してから何とかする」というのが非常に大変
⇒感染しないのが第一で、そのために予防をしたほうが良い
結論としては、「フィラリアは予防したほうが良い」です。
ちなみに「うちの子は一切外に出ないからフィラリアなんか関係ないわ」
という方もたまにいますが、それは間違いです。
外に出なくても外から蚊は入ってくる可能性がありますので、
室内にいれば絶対に大丈夫とはいいきれません。
「今までフィラリア予防した事ないけど、1度も感染したことないから大丈夫でしょ」
という方もいるのですが、この考え方も危険です。
今まで運よく感染しなかっただけで、今後感染する可能性は普通にあります。
これに関わるのはその子が属している集団の予防率と確率論の話なので、
確かに感染しないまま一生を過ごすこともありえるとは思いますが、
もし感染してしまうと命にかかわるし治療も大変なので予防したほうがいいです。
獣医もお金儲けのために推奨しているのではなく、
その子のことを考えれば絶対にやっておいた方がよいから推奨しています。
ということで頑張って予防していきましょう。
それではまた。
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