たまーーーに酔っ払った人が動物病院に来ることがあります。
ぜんぜん関係ない人が理由不明に乗り込んでくることがあったり、
人間の病院と勘違いして診察を受けに来ることだったり、
動物を飼っていて酔っ払った状態でペットの診察に連れてきたり、ケースとしては様々です。
今日は趣向を変えて、酔っ払いが病院に乗り込んできた話をしたいと思います。
春先の暖かい日でしたが、病院は入院患者もそれほどおらず、
朝一では比較的ゆっくりとした時間が流れていました。
さてそろそろ午前の診察が始まるぞというタイミングで受付の辺りがざわついて、
看護士さんが神妙な面付きでなにやら話し合っています。
話を聞いてみると一人の女性が入院している患者の面会に来たのだというのだけれど、
とてもお酒臭くてどうみても酔っ払っている上に、
その人が言う名前の入院患者はいないという事でした。
この時点でホラーですね。
受付で話している間に他の患者さんがいらっしゃったので、
ひとまず面会室に移動してもらって、詳しく話を聞いてみることになりました。
話してはみたもののやはり酔っ払っているようで、そもそも会話が成立しにくいのですが、
やはりうちの病院にはいない患者に会いたいと言っているようでした。
「ご希望の患者さんは当院に入院されていないので、どこか他の病院と勘違いされていませんか?」
とお伝えしても、「いやここの病院で間違いない、はやく連れて来い」との一点張りです。
最終的には怒り始めてしまい、「この病院は面会もできないのか!」とか、
「いるのはわかっているんだから、とっとと連れて来い」というようなことを
面会室で怒声をあげて、わめきちらしてしまう状態でした。
待合室で待っている患者さん達もざわざわし始めてしまい、
病院としても早急にお引取りいただく必要が出てきましたのでその旨をお伝えしますが、
当然聞き入れてくれるわけもなく、最終的に警察を呼ぶことになりました。
電話をしてから10分もしないうちに警察が来てくれたので事情を説明して、
面会室でそのまま警察の方から退去の説明をしてもらいました。
酔っ払っているからなのか、その方は警察が来ても相変わらずの論調でしたが、
結局警察に強制的に退去させられて病院を出て行かれました。
(捕らえられたエイリアン的な感じで連れ去られていきました)
ひとまずケガや大きなトラブルは無かったので良かったのですが、
スタッフは精神的な疲労がたまりましたし、待合で待たれていた患者さんも落ち着かない様子で
病院としてはなかなか困った事件となったのです。
その後酔っ払いの人は病院に訪れていませんし、
警察とその後どのようなやりとりがあったのかはわかりません。
「お酒は飲んでも飲まれるな」
この一言に尽きると思います。
以上、過去の事件簿でした。
それではまた。