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ノラ猫を安く(無料など)診察・治療することが難しい理由

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獣医として働いていると、ノラ猫の診察をする機会があります。

  • ノラ猫を新しくお家に迎えたいので、その準備をしたい
  • ノラ猫がケガをしたり衰弱しているので、その治療をしてあげたい
  • 地域猫の去勢避妊を行って、過剰繁殖を阻止したい
  • ノラ猫を捕まえたので、何とかしてほしい

などなど…

病院側からすると、ノラ猫というのは大変な患者さんなんです。

・気性が荒い、攻撃的、人に慣れていない子が多い

まずケージから出す段階で一苦労です。猫からすれば突然知らない所に連れてこられて巨大な人間に取り囲まれているので当然といえば当然なのですが、最大限に警戒していることがほとんどです。捕まえようと安易に手を入れようとすると、爪で引っかかれたり口で噛まれたりします。

・口腔内や爪の雑菌が多いので、こちらが負傷した時に重症化しやすい

飼い猫に比べて圧倒的に不衛生な環境で暮らしており、口腔内や足先の衛生状態も悪いことがほとんどです。そんな状態の子に噛まれたり引っかかれたりした場合は、高確率で腫れたり膿んだりしますので、非常に危険です。熱が出て入院が必要になることもあります。(猫ひっかき病と名のついている病気があるぐらいです)

・検査や治療に非協力的なことが多い

なんとかケージから出して、スタッフの安全確保のためにカラーを付けることができました。しかしまだまだ困難な状況は続きます。採血やレントゲンの撮影時に大暴れしたり、逃げ出したりする恐れがあります。治療の際には痛みを伴うこともあり、検査の時以上に非協力的で鎮静処置をしないと手を付けられないこともあります。

・感染性疾患の保有者である可能性が高く、病院が汚染されるリスクが高い

万一、逃げ出したりしたときは大変なことになります。お預かりしている他の患者さんを傷つける可能性があるだけでなく、保有している感染性の病気をうつしてしまう可能性があるからです。野良の子は猫白血病、猫エイズ、マダニ、耳ダニ、疥癬、ノミ、回虫、コクシジウム、線虫などの多くの疾患についての保有率が飼い猫と比較して高いです。猫だけではなく、犬にもうつるものが多いです。

 

このようにノラ猫の診療については飼い猫よりも大変なことが多いのです。本当は診療費を飼い猫よりも高くしたいぐらいですが、患者さんからはノラだから安くしてほしいという真逆の要望がきます。不幸なノラ猫が減るのであれば…と、ほとんどの病院は仕方なしに安くしているのではないかと思います。個人的にはノラ猫を診療しない病院があっても仕方ないのかなと考えてしまいます。

結論としては、そんなこんな色々な悩みと闘いながらノラ猫を診察しているということが伝われば幸いだということです。

 

それではまた。

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