異物


危険度

普通~高い

 


発生頻度

犬:非常に多い

猫:多い

 


分類

消化器疾患

 


症状

食欲低下、下痢、嘔吐、血便、お腹が痛そう

 


詳細

本来口にするべきではない物を食べてしまった場合には、異物として体に悪影響を及ぼす可能性がある事を知っておくべきである。尖った物であれば食道や胃壁、消化管に刺さる可能性があり、固いものであれば胃を荒らしたり腸を閉塞させたりする可能性がある。紐状のものでは舌、胃の出口、消化管に引っかかって粘膜を傷つけたりすることもある。よくあるケースとしては食べ物の周りにある包装紙などを食べ物ごと食べてしまう場合と、おもちゃなどを口にしている内に誤って飲み込んでしまう場合である。

特に厄介なのは「飲み込んだかもしれない」という不確定な場合であり、対象がレントゲンに映らないような材質で出来ている場合には吐かせたり内視鏡で確認したりしない限りはその有無がわからないためである。逆に異物の誤飲がわかっている場合には早急に対処することが大事であり、動物病院に連絡の上受診することが望ましい。

 


診断

問診とレントゲン検査や超音波検査の結果を合わせて診断を行う。

最も重要なのは問診であり、

・日頃から食べ物以外を口にする習慣があるかどうか

・現場を目撃したかどうか

・部屋から無くなった物がないか

・便に異物が出てきた事がないか

などを重点的に確認する。

紐状の異物であれば、歯や舌に引っかかっていたり、肛門から出てきているのが見つかる事もあるが、危険なので引っ張らない方が良い。

レントゲン検査は代表的な検査ではあるが、金属製の異物などの固いもの以外は検出が難しいため、決して万能な検査ではない。閉塞を伴うような異物の場合には消化管のガスの貯留具合によって見つける事ができる場合がある。

超音波検査の異物に関する感度は50%程度と言われており、サイズの大きいものや消化管に目立った変化を起こす異物は見つける事が出来るが、ガスや内容物で邪魔されやすい胃の中の異物や、サイズの小さい異物などを見つける事は難しい。

 


治療

治療は以下の対処の中から異物の形状と場所によって選択される。

【1、催吐処置】

この選択肢が可能なのは、異物が尖っていない場合で、かつ胃の中に存在する場合である。

通常食べてから1・2時間以内であれば胃の中に異物がまだ残っている可能性が高く、早急に動物病院に連れて行けば吐かせる処置を行う事ができる。しかし必ずしも吐き出すとは限らない事、吐かせたことにより胃液で食道が焼けてしまい食道炎になるリスクがある事には注意が必要である。

なお一部のインターネットサイトでは「食塩を過剰投与することで自宅でも吐かせる事ができる」と記載されているが、吐かなかった場合に食塩中毒を引き起こし、場合によっては命にかかわる可能性もあるため絶対に行ってはいけない。

 

【2、胃洗浄処置】

この選択肢が選ばれるのは、異物が中毒性のもので誤飲から時間が経っていない場合である。

胃の中を洗浄して液体を回収する事で、体に吸収される前に毒物を出来るだけ回収することが目的となる。なお全身麻酔が必要になるため、実施に際しては十分に説明を受けておいた方が良い。

 

【3、内視鏡摘出処置】
この処置が行われるのは異物が鋭利でなく小型の大きさで、胃~小腸に存在する場合である。

全身麻酔が必要ではあるが、食道~小腸を直接観察できるメリットがあり、超音波検査やレントゲン検査では調べることのできない傷の有無が確認できる。とはいえ内視鏡が到達できる場所は最大でも空腸までであり、それ以降の異物には手が出せない。また内視鏡で使われる鉗子や摘出ネットなどのサイズには限界があり、あまりにも大きい異物や崩壊性の高いものは捕まえることができない。そして紐状異物が引っかかっている場合など見つけたとしても取り出せない場合もあるため、決して万能な処置ではない。

 

【4、経過観察】

異物が小型であり、有害性の低いものの場合には選択される事がある。便と共に自然と体から排出される、もしくは体に吸収されて代謝されるのを待つことになり、消極的な対処法である。異物の形態が分かっている場合には、排出された便をほぐして異物が出てきていないかをチェックした方が良い。

 

【5、開腹手術】

異物が他の方法で摘出困難であり、緊急性を要する場合に選択される。全身麻酔下で開腹を行い、異物の存在する場所を直接切開することで摘出を行う。基本的には胃や消化管を切開することになり、縫合部から内用液が漏れ出して腹膜炎を起こすというリスクを常にはらんでいる。また変則的な方法ではあるが、開腹下で異物を用手にて胃まで押し戻して内視鏡で摘出をすることで腸を切らなくても良いようにする手技を行う事もある。最も侵襲性が大きいため最後の手段ではあるが、この手技以外で摘出が困難な異物も多い。

 


予後

閉塞の有無により大きく変わる。

 

注意

 

 

 

 

※注意事項

このサイトの医療情報を基にご自身で病気を判断することは控え、必ず獣医師の診断を受けてください。また当サイトの情報を基に行動されて発生した不利益等について、当サイトは一切の責任を負いませんのでご了承ください。

投稿日:

Copyright© わんにゃんライフ ~獣医師監修~ , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.