危険度
低い
(雄で結石がある場合は危険度高い)
発生頻度
犬:多い
猫:非常に多い
分類
泌尿器疾患
症状
頻尿、血尿、尿漏れ、排尿時に鳴く、トイレに行ったり来たり、トイレで座っている時間が長い、尿が臭い
詳細
細菌感染、膀胱結石による膀胱粘膜の損傷、真菌感染、ストレスなどによって膀胱が炎症を起こす疾患をさす。
ハッキリと原因がわからないこともあり、その場合は特発性とされる。
猫の特発性膀胱炎はストレスとの関連性が強く疑われ始めている。
雄で膀胱結石が存在することで引き起こされた膀胱炎の場合は、膀胱炎の治療だけでは不足である。なぜなら膀胱の中の結石が尿の通り道である尿道に詰まってしまい、尿を放出できない状態である尿道閉塞を続発する恐れがあるからである。また、膀胱結石を取り除かない限り一時的に膀胱炎が改善してもぶり返す可能性が高くなるため、石を溶かすような薬・食事による内科的治療を行うか、外科的に膀胱を切り開き直接石を取り除く必要がある。
診断
尿検査、超音波検査による。膀胱結石の存在が疑われる場合にはレントゲン検査も行われることも多い。
尿検査の採材方法にはいくつかあるが、飼い主や本人にとって一番楽なのは自宅で採取した尿を病院に持ち寄ることである。最近では採尿用のキットも販売されているため、以前より行いやすくなっている。ただし自宅で採材された尿は雑菌に汚染されやすいため、細菌感染の有無については検査精度が落ちると考えた方が良い。病院ではカテーテルを尿道から挿入し採尿したり、膀胱に針を刺して直接採尿することが一般的で、昔の病院では膀胱を手で圧迫して排尿させる手技をとっているところもある。
治療
治療の柱となるのは、
細菌性:抗生剤
真菌性:抗真菌剤
結石性:尿石症用フード、尿路結石治療剤、外科手術(場合により)
特発性:ストレスのない環境づくり
であるが、どのケースでも抗生剤と消炎剤が使われることが多い。
できるだけ水分を取ってもらうことも大事であり、膀胱内に古い尿が長時間滞留しないようにしていく。最も手軽で負担の少ない方法は、自宅の飲水環境を整えてもらうことで、水が入った容器をたくさん置いてもらったり、常に新鮮な水が飲めるようにこまめに交換することなどが考えられる。性格等で飲水量が少なく、なかなか水を飲んでもらえない場合には皮下点滴を行って飲水量の不足を補う方法もある。
予後
予後は良好だが、ぶり返すケースも多い。膀胱炎を繰り返していると慢性膀胱炎となってしまい、すっきりと治りにくくなることもあるため、注意が必要である。