乳腺腫瘍


危険度

犬:普通

猫:高い

 


発生頻度

犬:普通

猫:普通

 


分類

腫瘍性疾患

 


症状

お腹にしこりができている

進行した場合には、元気・食欲低下、やせてきた、下痢、嘔吐、など様々な症状がでる可能性がある

一般的な腫瘍と同様に、初期段階ではこれといった症状を示さず、乳腺の存在部位にしこりを形成するだけである。しかし病気が進行すると近傍のリンパ節や臓器などに転移を起こすことがあり、転移先の臓器に応じた症状が出る可能性がある。また、腫瘍の増殖に伴って全身状態が悪化し、元気や食欲の低下などの症状がみられるようになる。

 


詳細

乳腺組織にある腺細胞が腫瘍化したものが乳腺腫瘍である。雌性ホルモンとの関連性があるため避妊手術を行うことで発生率を下げることができるが、避妊手術を行っていても発生することはある。犬で乳腺腫瘍の発生率を下げるための避妊手術は初回の発情前(約6ヶ月齢~1歳齢)に行うことが望ましく、1回だけ発情がきた後に避妊手術を行うのが次に望ましい。2回以上発情が来てしまった場合には、それ以降の避妊手術はどのタイミングで行っても乳腺腫瘍の予防効果に差が出ないことがわかっている。

乳腺腫瘍には良性、悪性どちらも存在しており、良性:悪性の比率は犬で50:50であり、猫では10:90であると言われている。最初にできたものが良性乳腺腫瘍であったとしても、その後に悪性乳腺腫瘍が発生することもあるため、良性腫瘍であっても乳腺を切除してしまうことが望ましい。

悪性の乳腺腫瘍の中には乳腺に強い炎症を伴う炎症性乳癌も含まれ、この疾患の予後は非常に悪いことがわかっている。

乳腺腫瘍と思われていたものが「繊維上皮性過形成」と呼ばれる腫瘍ではないものだった、ということも起こりえるため、このような誤認を避けるのであれば最初に細胞診検査を行っておくとよい。

 


診断

問診、触診などで診断する。

細胞診(針を刺して中の細胞を顕微鏡で見る検査)を行うこともあるが細胞診で良性・悪性を確定することはできないため、最初から細胞診を行わずに切除を行って病理検査に回してしまうことが多い。

病理検査(ホルマリン固定した塊から組織スライドを作成し、顕微鏡で見る検査)では良性・悪性の診断をつけることができるとともに、付属リンパ節への転移の有無も確認することができる。

 


治療

抗ガン剤に対する反応性はあまり良くないため、外科的な切除が第一選択となる。

理想の切除範囲は両側の乳腺組織の完全切除であるが、一度の手術でそれを行うことは難しい(切除後に縫い合わせるための皮膚が足りなくなる、麻酔時間が長時間になっていまうなどの理由のため)。そのため2度の手術に分けて片方ずつ完全切除を行うか、腫瘍が存在する周辺の乳腺だけ切除する部分摘出を行うことが一般的である。全身麻酔が難しい場合には部分麻酔で乳腺腫瘍だけ切除することもあるが、残っている乳腺組織から新たな乳腺腫瘍が発生することが多い。

乳腺の切除術と同時に避妊手術を行うかどうかについては専門家でも意見が分かれている。同時の避妊手術によって腫瘍発生率は低下することはないが、卵巣子宮疾患を防ぐことができる。しかし乳腺の切除術自体の麻酔時間が長いことが多いため、追加で避妊手術をすることでより麻酔のリスクが上がる。どちらにするかについては本人の年齢や健康状態、手術費用など色々な要素を踏まえた上で、飼い主の希望に沿った形で行うことが多いと思われる。

ヒトで行われるようなホルモン療法については一部の患者で効果があるかもしれないが、現時点でハッキリしたことは言えず、積極的に行われることは少ない。

炎症性乳癌では外科的な切除を行うことが推奨されず、治療に苦慮することが多い。炎症性乳癌に対する根本的な治療法としては、放射線療法や抗ガン剤治療を併用した報告が存在している。

 


予後

良性の場合では外科的切除を行った後の予後は良い。ただし乳腺組織が体に残っている場合には新たな乳腺腫瘍が発生する可能性がある。

悪性の場合は転移や浸潤の有無、外科的な完全切除かどうかなどで予後が変わるため一概には言えないが、悪性の中でも炎症性乳癌の場合は間違いなく予後が悪いといえる。

 

注意

 

 

 

 

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