危険度
低い
糖尿病性ケトアシドーシスの場合には命に関わる可能性があり危険である。
発生頻度
犬:普通
猫:普通
分類
内分泌疾患
症状
食欲亢進、体重低下、毛艶の低下、多飲多尿、尿から甘い臭いがする
糖尿病性ケトアシドーシスの場合は、元気低下、食欲低下、嘔吐、痙攣、意識低下などがみられることもある。
詳細
膵臓で作られているインスリンは血糖値をコントロールしているが、このインスリンが分泌不足になったり、インスリンに対する反応性が低下した際に糖尿病となる。インスリンが十分に活用できていないことから血管内に過剰な糖分が溢れ、結果として尿中にも糖分が漏れ出てくることになる。体の細胞としては血液から栄養(糖分)を受け取ることが出来ず飢餓状態となっており、食事量を増やそうと指令を出したり、他の方法でエネルギーを作り出そうとする。そして通常はあまり行わない経路を使ってエネルギーを生み出すことを長期間続けていると、副産物としてできるケトン体が体に毒性を示すほど蓄積され、糖尿病性ケトアシドーシスとなる。
糖尿病単体では病的なサインに欠けるため飼い主が気づかないことも多く、ケトアシドーシスになって重篤化して初めて気づくということも多い病気である。
診断
血液検査と尿検査の結果から診断する。
糖尿病が疑わしいが決め手に欠ける場合などには、外注検査にてフルクトサミンや糖化ヘモグロビンを測定し長期間の血糖状況を調べることもある。
治療
基本的にインスリンの投与で管理していくことになるが、治療薬として投与するインスリンは多すぎても少なすぎても問題なため、適切な種類や量を見つけ出すまでに時間が掛かることが多いことに加えて、入院が必要になる。
・糖尿病だけの場合
長時間型のインスリンを注射することで補充し、その後の血糖値が高すぎたり低すぎたりしないかモニタリングしていく。通常は血糖値が最も低くなった時に200前後になるようにインスリンの種類や量を調整していき、数値が安定するようであれば自宅でインスリン注射を行ってもらう。
・ケトアシドーシスも発症している場合
ほとんどのケースは重篤化しており早急に血糖値を下げないと危険な状態である。そのためケトアシドーシスの状態を脱出するまで短時間型のインスリンを使用し、頻繁に血糖値をチェックしていく。ケトアシドーシスを脱出することが出来、状態が安定していれば糖尿病だけの場合と同じように管理をしていく。
予後
治る病気ではないため生涯に渡ってインスリンの投与が必要になるが、適切に管理されていれば予後は良好。
ただし、インスリンに対する反応性が時間経過とともに変わってくる場合があるので、定期的に血糖値の測定を行う必要がある。