危険度
中~高い
場合によっては亡くなることもあるので注意が必要である
発生頻度
犬:普通
猫:少ない
分類
免疫疾患
症状
犬:顔が腫れる、嘔吐、熱が出る、落ち着かずソワソワする、震える、元気がない、など
猫:嘔吐、部屋の隅でじっとしている、など
詳細
アレルギーとは体の免疫機能が過剰に反応した結果の異常であるが、ワクチン接種の際にもそれが起こることがあり、ワクチンアレルギーと呼ばれる。通常はワクチン抗原自体ではなく、免疫反応を活性化させるためのアジュバントと呼ばれる物質に対してアレルギーを起こすといわれており、それぞれのメーカーでアジュバントが異なるためにアレルギー反応の起こりやすさも異なってくる。獣医師としてもアレルギーが起こりにくいワクチンを望んでおり、複数存在するワクチンブランドの中から、病院に取り置くワクチンをそれぞれの経験をベースにして選んでいる。
接種から数時間以内の短時間型アレルギーの方が症状が強く出やすいため、注意が必要である。最悪の場合にはアナフィラキシーショックを引き起こし、命に関わることもある。そのため短時間型のアレルギーが疑わしい場合には、病院に確認をしたり連れて行ったりと、何らかのアクションを取ったほうが良い。逆に長時間が経過してからのアレルギーは症状が緩慢であるため、そのまま経過を見ていても問題ないことが多い。
ワクチンアレルギーが出るかどうかは完全に本人次第であり、最初の発症を事前に予測することは不可能である。また勘違いされがちではあるが、それまでに複数回のワクチン接種をして問題がなかったとしても、次にワクチン接種をした時に絶対に大丈夫とは限らない。そのためワクチンは毎回接種のたびにアレルギーが出てこないか見ていく必要がある。
逆にこれまでにワクチンアレルギーを起こしたことがある者については、ワクチン接種自体を控えるか、アレルギー予防薬の投与を行った上でのワクチン接種をするか選ぶことになる。しかし混合ワクチンで予防している病原体は、万一感染した場合に命に関わることから予防薬を使ってでもワクチン接種をしていくのが望ましいと思われる。
オーナーは一度の来院で色々なことを済ませたいという思いから、爪切りやトリミングなどの様々な用事とワクチンの同時実施を希望されることが多い。しかし、この行動は以下の2つの点から推奨できない。1つ目はもし帰宅後に調子が落ちた時に、それがワクチンアレルギーで調子が落ちたのか、それ以外の用事の影響なのかが区別できないからである。2つ目は、他の用事による疲れやストレスがワクチンによる免疫獲得の過程を邪魔する可能性があるからである。
診断
ワクチン接種の日時と、本人の症状を踏まえて診断する。
治療
抗ヒスタミン薬や、ステロイドなどを使用してアレルギー反応を抑えていく。治療への反応性は良好で、早期に治療できれば特に問題が起きることは少ない。
予後
急性のワクチンアレルギーは早めに治療できれば、問題ない。治療が遅れた場合には予後はまちまちである。
遅発性のワクチンアレルギーも予後は問題ないことがほとんどである。